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\bfsection{2.2 スキーム}
\bfsubsection{補題 2.1 直前}
\barquo{
$\fraka$を$A$の任意のイデアルとして、部分集合$V(\fraka) \subset \Spec A$を$\fraka$を含むすべての素イデアルの集合と定める。
}
\begin{rem}
G\"{o}rtz Wedhorn\cite{GW}にならって補足。$\Spec A$の部分集合を$A$のイデアルに対応させるような写像$I$を
\[
I(Y) = \bigcap_{\frakp \in Y} \frakp
\]
により定める。このとき次が成り立つ。
\end{rem}
\prop{
$Y \subset \Spec A$は部分集合、$\fraka \subset A$はイデアルとする。このとき次が成り立つ。
\begin{description}
\item[(1)] $\sqrt{I(Y)} = I(Y)$
\item[(2)] $I(V(\fraka)) = \sqrt{\fraka}$
\item[(3)] $V(I(Y)) = \ol{Y}$
\end{description}
}
\begin{proof}
G\"{o}rtz Wedhorn\cite{GW} Proposition 2.3を参照のこと。
\end{proof}
\bfsubsection{定義-スペクトラム 直前}
\barquo{
$\Spec A$上に位相を、$V(\fraka)$の形をした部分集合を閉部分集合全体とすることで定義する。
}
\begin{rem}
定義からただちに従う結果として、次がある。
\end{rem}
\prop{
$A$は環、$X = \Spec A$かつ$f \in A$で、$\fraka \subset A$はイデアルとする。このとき次が成り立つ。
\begin{description}
\item[(1)] $A \to A_f$が誘導する射$\Spec A_f \to \Spec A$の像は$D(f)$であり、また像への同相写像である。
\item[(2)] $A \to A/\fraka$が誘導する射$\Spec A/\fraka \to \Spec A$の像は$V(\fraka )$であり、また像への同相写像である。
\end{description}
}
\bfsubsection{定義-スペクトラム 直前}
\barquo{
定義の局所性から$\calo$が層であることも明らかである。
}
\begin{proof}
$\calo$の定義と層化の定義を見比べてみると (茎を与える写像を代入だと思えば) 両者は完全に一致するということが見て取れる。そこで前層$\scrf$を
\[
\scrf(U) = \setmid{s \colon U \to \coprod_{\frakp \in U} A_{\frakp} }{s(\frakp) \in A_{\frakp} \text{かつ} \exists a \in A, \; \exists f \in A \sm \bigcup_{\frakp \in U} \frakp \quad s(\frakp) = a/f }
\]
として定める。これは貼り合わせが存在しないため一般には層にならないと予想される。この$\scrf$の点$\frakp \in \Spec A$における茎が$A_{\frakp}$であることが、命題2.2とまったく同様に示せる。したがって$\calo$は$\scrf$の層化であり、層であることがわかる。
\end{proof}
\bfsubsection{命題 2.2}
\barquo{
任意の元$f \in A$に対して、環$\calo(D(f))$は局所化された環$A_f$と同型である。
}
\begin{rem}
これは開基上でのスペクトラムの振る舞いを定める性質なので、これを全体に延長して環の層の定義とすることができる。この性質$\calo(D(f)) = A_f$を定義とする流儀を採用した場合、$D(f)=D(g)$ならば$A_f = A_g$であること、開基上で層の条件を満たすことは保証しておかなくてはならないが、それについては実際にその定義を採用しているG\"{o}rtz Wedhorn\cite{GW}を参照すればわかる。
しかし一応ここでも少し説明する。まず次の同値変形
\begin{align*}
D(f) \subset D(g) &\iff \forall \frakp \in \Spec A \; g \in \frakp \to f \in \frakp \\
&\iff f \in \bigcap_{g \in \frakp} \frakp \\
&\iff f \in \sqrt{gA} \\
&\iff \exists n \; f^n \in gA \\
&\iff g/1 \in (A_f)^{\tm}
\end{align*}
ができることに気を付ける。このとき自然な写像$A \to A_f$は$\rho_{f,g} \colon A_g \to A_f$を誘導する。(これを制限写像にする) もしも$D(f) \subset D(g) \subset D(h)$ならば
\[
\rho_{f,g} \circ \rho_{g,h} = \rho_{f,h}
\]
が成り立つ。とくに$h=f$のときには$\rho_{f,g}$は同型であり、$A_f = A_g$であることがわかる。
\end{rem}
\bfsubsection{命題 2.2}
\barquo{
既に示した$\psi$の単射性を$D(h_ih_j)$に適用することによって、$A_{h_ih_j}$で$a_i / h_i = a_j / h_j$であることを得る必要がある。
}
\begin{rem}
原著では『Hence, according to the injectivity of $\psi$ proved above, applied to $D(h_ih_j)$ we must have $a_i / h_i = a_j / h_j$ in $A_{h_i h_j}$.』と書いてある部分である。
\end{rem}
\bfsubsection{定義-環付き空間}
\barquo{
環付き空間$(X,\calo_X)$から$(Y,\calo_Y)$への射とは連続写像$f \colon X \to Y$と$Y$上の環の層の写像$f^{\#} \colon \calo_Y \to f_* \calo_X$の対$(f,f^{\#})$である。
}
\begin{rem}
$f^{\#}$と書いてはいるが、$f^{\#}$は$f$だけによって決まるものではないことに注意する。環付き空間は圏をなすのだが、射の合成の定義が書かれていないので説明する。$(f,f^{\#}) \colon (X,\calo_X) \to (Y,\calo_Y)$と$(g,g^{\#}) \colon (Y,\calo_Y) \to (Z,\calo_Z)$の合成$(h,h^{\#})$は次のように定める。まず$h = g \circ f$とする。そして$h^{\#}$は、任意の$W \opsub Z$に対して
\[
h^{\#}_W = f^{\#}_{g^{-1}(W)} \circ g^{\#}_W
\]
により定める。
\end{rem}
\begin{rem}
G\"{o}rtz Wedhorn\cite{GW}に従って補足をする。構造層というのは、開集合$U$に対して$U$上で定義された「良い性質を満たす」写像の集まりを返すようなものだというイメージがあるらしい。そして層の射$f^{\#}_V \colon \calo_Y(V) \to \calo_X(f^{-1}(V)) $は$f$を口の方につなぐような写像だというイメージだそうだ。このとき$f$を合成することで「良い性質を満たす」ことは変わってはいけないこともこのイメージには含まれている。自然性が成り立ち、$f^{\#}$が層の射でなくてはならないことはこのイメージから説明できそうだ。
同書は「Since viewing sections of the structure sheaves as functions is only a heuristic, we cannot acturally compose sections with the map $f$.」と書いているが、環のスペクトラムの場合は本当に$f$をつなぐ写像だと思うことができる。環準同型$\vp \colon A \to B$が与えられており、$f \colon \Spec B \to \Spec A$と$f^{\#} \colon \calo_A \to f_* \calo_B$は$\vp$から誘導される射とする。このとき$g \in A$に対して$f^{\#}_{D(g)}$はどのような写像かという事を考える。すると次の図式
\[
\xymatrix{
A_g \ar[d]_{f\fl} & \coprod_{\frakq \in D(\vp(g))} D(g) \ar[r] & \coprod_{\frakq \in D(\vp(g))} A_{f(\frakq)} \ar[d]^-{\vp} \\
B_{\vp(g)} & D(\vp(g)) \ar[r] \ar[u]^-f & \coprod_{\frakq \in D(\vp(g))} B_{\frakq}
}
\]
により定められるような、「口に$f$をつないで$\vp$を尻に継ぎ足す」写像$f\fl$は$f^{\#}_{D(g)} $と一致することがわかる。
\end{rem}
\begin{rem}
さらにG\"{o}rtz Wedhorn\cite{GW}に従って補足をする。局所環付き空間$(X,\calo_X)$が与えられていたとし、$U \opsub X$とする。$j \colon U \to X$を包含写像とする。このとき制限写像が
\[
\calo_X(V) \to \calo_X(V \cap U) = \calo_{X}|_U (j^{-1}(V)) = j_* \calo_{X}|_U (V)
\]
と見なせるため、射$j\fl \colon \calo_X \to \calo_{X}|_U$が導かれる。この写像はもとは制限写像なので、茎をとると恒等写像になることが予想される。したがって局所環付き空間の射$(j,j\fl) \colon (U, \calo_{X}|_U) \to (X,\calo_X)$が誘導される。これによって開部分対象だと見なせる。
\end{rem}
\bfsubsection{命題 2.3 (b)}
\barquo{
$\calo$の定義から写像$f$と$\vp_{\frakp}$を合成することによって、任意の開集合$V \subset \Spec A$に対して環の準同型$f^{\#} \colon \calo_{\Spec A}(V) \to \calo_{\Spec B}(f^{-1}(V))$を得、
}
\begin{proof}
すこし詳しく説明する。$\calo_{\Spec A}$などといちいち書くのは面倒なので、$\calo_{A}$などと略記する。$s \in \calo_A(V)$が与えられたとする。$f^{\#}_V (s) \in \calo_B(f^{-1}(V))$を記述しよう。任意にとった$\frakp \in f^{-1}(V)$を$f^{\#}_V (s)$がどこへ写すかをみればいい。
ひとことでいえば、それはこの可換図式による。
\[
\xymatrix{
f^{-1}(V) \ar[r]^-{f^{\#}_V (s)} \ar[d]_-{f'} & \coprod_{\frakp \in f^{-1}(V)} B_{\frakp} \\
\coprod_{\frakp \in f^{-1}(V)} \{f(\frakp)\} \ar[r]^-s & \coprod_{\frakp \in f^{-1}(V)} A_{f(\frakp)} \ar[u]_-{\vp'}
}
\]
ただし、それぞれの写像は次のように定義される。
\begin{align*}
f'(\frakp) &= (\frakp, f(\frakp)) \\
s(\frakp, f(\frakp)) &= (\frakp, s(f(\frakp))) \\
\vp'(\frakp, t) &= (\frakp, \vp_{\frakp}(t))
\end{align*}
以上の議論によって、$s \in \prod_{\frakq \in V} A_{\frakq}$を$f^{\#}_V(s) \in \prod_{\frakp \in f^{-1}(V)} B_{\frakp}$に対応させることができた。$f^{\#}_V(s) \in \calo_B(f^{-1}(V))$となっていることを確認したい。それは、
$t \in A \sm \bigcup_{\frakq \in V} \frakq$について次の図式
\[
\xymatrix{
A_t \ar[r] \ar[d]_-{\vp} & \prod_{\frakq \in V} A_{\frakq} \ar[d]^-{f^{\#}_V} \\
B_{\vp(t)} \ar[r] & \prod_{\frakp \in f^{-1}(V)} B_{\frakp}
}
\]
が可換であることによる。
\end{proof}
\bfsubsection{命題 2.3 (b)}
\barquo{
$f^{\#}$から茎に誘導される写像は局所準同形$\vp_{\frakp}$に他ならず、$(f,f^{\#})$は局所環付き空間の射となる。
}
\begin{proof}
$\frakp \in \Spec B$と$f(\frakp) \in \Spec A$の近傍$D(g) \; (g \in A)$について、次の図式
\[
\xymatrix{
{} & \calo_A(D(g)) \ar[ld] \ar[rr]^{f^{\#}_{D(g)} } & {} & f_*\calo_B(D(g)) \ar[ld] \ar@{=}[r] & \calo_B(D(\vp(g))) \ar[ld] \\
\calo_{A,f(\frakp)} \ar[rr] \ar[dd] & {} & (f_*\calo_B)_{f(\frakp)} \ar[r] & \calo_{B,\frakp} \ar[dd] & {} \\
{} & A_g \ar[uu]_(.3){\psi_g} \ar[rrr]^-{\vp_g} \ar[ld] & { } & {} & B_{\vp(g)} \ar[uu]_{\psi_{\vp(g)}} \ar[ld] \\
A_{f(\frakp) } \ar[rrr]^-{\vp_{\frakp}} & {} & {} & B_{\frakp}
}
\]
の前面以外は可換である。ただし$\psi$は命題2.2(b)で構成された同型であるとする。よって、$\{ D(g)\}$が基本近傍系であり$\psi_g$が同型であることから、前面も可換であることがいえる。したがって、$\vp_{\frakp}$と$f^{\#}$が茎に誘導する写像とは自然に同一視される。
\end{proof}
\bfsubsection{命題 2.3 (c)}
\barquo{
$f^{\#}$もまた$\vp$から誘導されることは直ちに分かるので、局所環付き空間の射$(f,f^{\#})$は確かに環の準同形$\vp$から来ていることになる。
}
\begin{proof}
$\vp$から誘導される層の射$\calo_A \to f_*\calo_B$を$\vp^{\#}$と表すことにする。$f^{\#}$の自然性により、自然な同型を省略して、次の図式
\[
\xymatrix{
A_g \ar[r]^-{ f^{\#}_{D(g)} } & B_{\vp(g)} \\
A \ar[u] \ar[r]^-{\vp} & B \ar[u]
}
\]
は可換である。したがって局所化の普遍性から$f^{\#}_{D(g)} = \vp_g$である。この性質は$\vp^{\#}$を特徴付けるものなので、$f^{\#} = \vp^{\#}$がわかる。
\end{proof}
\begin{que}
局所環付き空間の射
\[
(f,f^{\#}) \colon (X,\calo_X) \to (Y,\calo_Y)
\]
が与えられているとする。$P \in X$だとして、次の2通りの構成を考えよう。
\begin{description}
\item[(1)] $f^{\#} \colon \calo_Y \to f_* \calo_X$は、逆像と合成の随伴により$g \colon f^{-1}\calo_Y \to \calo_X$と対応している。この$g$に対して$P$における茎を考えると$g_P \colon \calo_{Y,f(P)} \to \calo_{X,P}$が誘導される。
\item[(2)] $f^{\#}$の$f(P)$における茎を考えると$(f^{\#})_{f(P)} \colon \calo_{Y,f(P)} \to (f_* \calo_X)_{f(P)}$が誘導される。この写像と$(f_* \calo_X)_{f(P)} \to \calo_{X,P}$を合成して$f^{\#}_P \colon \calo_{Y,f(P)} \to \calo_{X,P}$を得る。
\end{description}
このとき、$g_P$と$f^{\#}_P$は一致するか?
\end{que}
\begin{sol}
実際に元をとってみればすぐにわかる。$t \in \calo_{Y,f(P)}$とし、$t$の代表元$s \in \coprod_{f(P) \in V} \calo_Y(V)$をとる。このとき
\[
f^{\#}_P (t) = g_P(t) = (f^{\#}_V(s))_P
\]
となるから一致する。\textblue{では、元を取らないような別証があるだろうか?}
\end{sol}
\bfsubsection{例 2.3.1}
\barquo{
一方$t_0$は閉点で、
}
\begin{rem}
$X = \Spec A$とする。次の事実が成り立つことに注意する。証明は$V( x ) = \ol{\{ x \} }$から直ちに従うので省略する。
\begin{description}
\item[(1)] $x \in X$が閉点、つまり$\{x \} \clsub X$であることは$x \subset A$が極大イデアルであることと同値
\item[(2)] $x \in X$が生成点であること、つまり$\ol{\{x\}}=X$であることは$x \subset A$が唯一の極小素イデアルであることと同値
\end{description}
\end{rem}
\bfsubsection{例 2.3.2}
\barquo{
これとは別の環付き空間の射$\Spec K \to T$もあり、それは$\Spec K$の唯一の点を$t_0$に移し、付随する構造層の射$f^{\#}$は包含写像$R \to K$を用いて定義される。
}
\begin{proof}
$(f,f^{\#}) \colon (\Spec K, \calo_K) \to (\Spec R, \calo_R)$であって、次のように定められている射である。まず$f \colon \Spec K \to \Spec R$は$g(\{ 0 \} ) = \frakm_R$により定まる写像である。$g^{\# } \colon \calo_R \to g_* \calo_K$は、$\Spec R$の開集合が$\{0\}$と$\Spec R$全体しか存在しないことに注意すると
$g_{ \{0\} }^{\#} \colon K \to 0$と$g^{\#}_{\Spec R} \colon R \to K$の2つだけしかない。包含射像で定めるというのは、$g^{\#}_{\Spec R}$を包含射像として定めるという意味であろう。
\end{proof}
\bfsubsection{例 2.3.4}
\barquo{
さらに、$\A_k^2$の閉点全体の集合は誘導位相の下で第1章で$\A^2$と表された多様体と同相である。
}
\begin{rem}
ほぼあきらかだが一応説明する。$\A_k^2$の閉点全体の集合に誘導位相をいれたものを$C$とする。$k$は代数閉体なので、$C$の元は$\frakp = (x-a,y-b)$という形をしている。$\frakp = (x-a,y-b)$を$(a,b) \in \A^2$に対応させる写像を$s$とする。このとき$s$は全単射かつ連続かつ閉写像であり、同相射像である。
\end{rem}
\bfsubsection{例 2.3.4}
\barquo{
また、各既約多項式$f(x,y)$に対し、点$\eta$で、その閉包が$\eta$および$f(a,b)=0$となるすべての閉点$(a,b)$であるようなものがある。$\eta$を曲線$f(x,y)=0$の生成点という。
}
\begin{rem}
$f \in k[x,y]$が定数でない既約多項式なら、$k[x,y]$はUFDなので$(f)$は素イデアルである。そこで$\eta = (f)$とおく。すると$\ol{\{ \eta \} } = V(\eta)$である。$\dim k[x,y] =2$より、$\eta$でない$V(\eta)$の元は極大イデアル、つまり閉点である。
\end{rem}
\bfsubsection{例 2.3.5}
\barquo{
構造層$\calo_X$は次のように定義される: 任意の開集合$V \subset X$に対して
\[
\begin{split}
\calo_X(V) &= \left\{ \kakko{s_1,s_2} \mathrel{} \middle| \mathrel{} s_1 \in \calo_{X_1}(i_1^{-1}(V)) \text{かつ} s_2 \in \calo_{X_2}(i_2^{-1}(V)) \text{であり} \right. \\
& \vp(s_1|_{i_1^{-1}(V) \cap U_1 } ) = s_2|_{i_2^{-1}(V) \cap U_2 } \}.
\end{split}
\]
}
\begin{rem}
\textblue{誤植であろうと思われる。}$(\vp,\vp\fl) \colon (U_1,\calo_{X_1}|_{U_1}) \to (U_2,\calo_{X_2}|_{U_2})$を局所環付き空間の同型とする。このとき$x \in U_1$に対して
\begin{align*}
x \in \vp^{-1}(i_2^{-1}(V) \cap U_2)
&\iff \vp(x) \in i_2^{-1}(V) \cap U_2 \\
&\iff \vp(x) \in U_2 \text{かつ} (X_2,\vp(X)) \in V \\
&\iff x \in U_1 \text{かつ} (X_2,\vp(X)) \in V \\
&\iff x \in U_1 \text{かつ} (X_1,x) \in V \\
&\iff x \in i_1^{-1}(V) \cap U_1
\end{align*}
である。したがって$\vp^{-1}(i_2^{-1}(V) \cap U_2) = i_1^{-1}(V) \cap U_1$である。よって$\vp\fl \colon \calo_{X_2}|_{U_2} \to \vp_* \calo_{X_1}|_{U_1}$を用いて
\[
\vp\fl (s_2|_{i_2^{-1}(V) \cap U_2 }) = s_1|_{i_1^{-1}(V) \cap U_1 }
\]
という条件を考えることができる。
\end{rem}
\bfsubsection{演習問題 2.7}
\barquo{
$\Spec K$から$X$へ射を与えることは点$x \in X$と包含写像$k(x) \to K$を与えることと同値であることを示せ。
}
\begin{rem}
$X$が局所有限型な$K$-スキームで$K$が代数閉体なら、$\Hom_K(\Spec K, X)$と$X$の閉点全体との間に canonical な全単射があることが知られている。証明は、たとえばG\"ortz Wedhorn\cite{GW} Corollary 3.36 を参照のこと。
\end{rem}